待ち合わせ
待ち合わせが苦手だ。時間と場所のふたつを徹底しなければならないし、なにより早くに着いても遅れて行っても人探しをしなければならない。
人間観察は大好きだけれど、それはある特定の誰かを見つける必要がないからで、なんとなくぼおっとして、女子高生の靴下丈とスカート丈の比較とか、前に座っている人の貧乏ゆすりが一分に何回かとか、この空間に金髪は何人いるかとか、そういった、ほんとうに防犯カメラの視点での観察だから、それが待ち合わせで人探しとなるとできなくなってしまう。
だからわたしは、迎えに行くとか、迎えに来てもらうとか、先にお店に入っていて店員さんに名前を言えば席まで連れて行ってもらえるとか、そういった待ち合わせが好きだ。
小さいころ、よく近所の友だちの家に行ってチャイムを押した。友だちの家の玄関先で待つことは、友だちと遊んでいる時間と同じくらいわくわくした。玄関で急いで靴を履いている音がしたあとの鍵を回す音は、無意識にわたしを笑顔にさせた。
大人になって、友だちの家のチャイムを鳴らすことが少なくなった。どこかの駅の改札とか、コンビニの駐車場とか、居酒屋の入り口とか。全然楽しくない。