わたしの片思いは、浅いお皿に注がれた水みたいなもので、大切に慎重に持って運ばないといけなくて
気付けばなみなみになっていた水は、少しの揺れで波打ってしまうから、わたしは両手でお皿をそっと持つだけでどこにも動けなくなってしまって
あるとき、色んなことがいっぺんに起こって、じっとしていられなくなってお皿をウエイトレスみたいに片手で持って、くるくる回って飛んで走ったの
お皿の水は遠心力で片方に寄っていて、そしてわたしが疲れてぴたっと止まったとき、一気に溢れた
床に溢れた、時間をかけて大切にしていた水は、お皿が綺麗だったから気が付かなかったけれど、もう透明じゃなくなっていて
わたしは、濁りのあるその水になにも価値を感じなくなってしまって
それから新しい水を注ぐ気にもならなくて、それはきっと勝手に少しずつどこからか注がれるようなものなんだろうけれど、わたしはその水がだんだんと濁っていくことを知ってしまったから、また時間をかけてゆっくり注がれるのを待つ気にもなれなくて
そんな感じで今、床に溢れた水を立って眺めている状態です
会って話したらその水を掬ってしまうと思うから、その前に、どんなに汚い雑巾でもいいから拭かなきゃいけない
そもそもその濁りは悪いものじゃないのかもしれない、とも思う
けれど、わたしには濁った水に同情も愛情も感じなくて
きっとお皿が悪かったの、もっと深さのある、ボウルみたいに大きな器じゃないとだめだった
次は、どんぶりの形した器に水を注ぎたいものです